ゴールデン・トライアングルとは
黄金の三角地帯とは、東南アジアのタイ、ミャンマー、ラオスの3国がメコン川で接する山岳地帯で、ミャンマー東部シャン州に属する。世界最大の麻薬密造地帯であった。別名ゴールデン・トライアングルと呼ばれ、アフガニスタン・パキスタン・イラン国境付近の「黄金の三日月地帯」と並ぶ密造地帯である。
ゴールデン・トライアングルのタイ側
タイ側のゴールデントライアングルは観光地になっており、比較的に安全で一番行きやすい。
タイ側のゴールデン・トライアングルの詳しくはコチラをご覧ください。
ゴールデン・トライアングルのミャンマー側
ミャンマー側のゴールデントライアングルは日本人は基本的に入国出来ない。
賄賂を払って密入国する事も可能だが、もしものことを考えると入国しない方が良い。
ミャンマー側には「カジノParadise Resort」があり、タイ側からボートで行って遠目に眺める事も可能。
現在、カジノは少数の中国人がいるくらいで賑わってないという情報もある。
ゴールデン・トライアングルのラオス側
ラオス側は黄金に輝くカジノホテルを中心に、国家と犯罪組織の利権が複雑に絡み合うジャオ・ウェイという人物が支配する経済特区だ。表向きの華やかな開発事業の裏では、ありとあらゆる犯罪が跋扈しているという。違法薬物、オンライン詐欺、人身売買ー「犯罪被害に遭う可能性は否定できません」と、日本の外務省も警告を発している。
現代のゴールデン・トライアングルの現状
現代のゴールデン・トライアングル(黄金の三角地帯)ラオス側の特別経済区は、あらゆる種類の犯罪活動の中心地となっている。麻薬密売、人身売買、詐欺組織などが横行している。被害者の多くは、海外での高給の仕事を約束するオンライン広告に騙されて連れてこられ、到着するとパスポートを取り上げられ、その後詐欺のやり方を教え込まれて無理やり働かさせられる。
この国際犯罪拠点を支配しているとされるのは、中国国籍のジャオウェイである。彼がルールを定め、中国系の組織犯罪グループは東南アジアのみならず世界的に強力なネットワークを築いている。
ラオスは共産主義国家であり、中国共産党との関係が深い。そのため、ラオスにおける中国の影響力は、アメリカと比べても圧倒的に大きい。ここでの大きな疑問は、中国がこの状況を本気で終わらせる意思があるのかどうかである。中国の態度には曖昧な部分があり、ジャオウェイに対してある程度の寛容さを示しているように見える。では、彼は一体何者なのか? そして、なぜ疑惑の犯罪組織のボスがこの地を「個人的な王国」のように運営できるのか?
タイ軍の取り締まりと麻薬密輸
ミャンマーとの国境近く、タイ北部の山中では、タイ軍が定期的に巡回し麻薬密売人を捜索している。タイ当局によると、ほぼ毎週、大量の麻薬が国境を越えて密輸されている。特に**覚醒剤(メタンフェタミン)**の密輸が急増している。
タイ軍が提供した映像では、兵士たちがラオスとミャンマーとの国境警備にあたる様子が映されている。時には密売組織と直接対峙することもある。
東南アジアでは、過去最多となる169トンの覚醒剤が押収された。そのうち82%がミャンマー、ラオス、タイのいわゆる「黄金の三角地帯」から流入している。そして、その中心にあるのが**黄金の三角地帯特別経済区(GTSEZ)**である。
カジノとマネーロンダリング
GTSEZの中心にはキングス・ロマンズ・カジノがあり、ここは違法な資金洗浄の拠点として機能しているとされる。カジノは資金の移動を容易にし、犯罪組織が違法収益を合法的な金融システムに組み込む手助けをしていると、多くの捜査機関が指摘している。
「麻薬資金の多くがカジノを経由して洗浄されている。これが、この特別経済区が設立された理由のひとつではないか」とする意見もある。国連薬物犯罪事務所(UNODC)も、長年にわたる詳細な報告書でこの問題を指摘している。
ジャオウェイの影響力
ジャオウェイは、自らの犯罪関与を否定しているが、彼の影響力は絶大である。彼は、黄金の三角地帯特別経済区の「指導者」として振る舞い、豪華な式典に参加し、ラオス政府高官と交流している。
2007年、ジャオウェイはラオス政府と協定を結び、99年間の租借契約を獲得した。39平方マイルの領域を支配し、実質的に彼がこの地域を統治している。表向きは「観光・商業開発プロジェクト」とされているが、実態は違法行為の温床となっている。
彼は北部中国出身で、1990年代後半から2000年代初頭にかけてマカオやミャンマー北部でカジノビジネスに携わっていた。のちに、ミャンマー北部の武装組織**「モンラー軍(国家民主同盟軍)」**と密接な関係を築いた。GTSEZ内の労働者や警備部隊の多くがミャンマー北部出身者であるのは、この関係によるものと考えられる。
2011年の「メコン川殺害事件」とジャオウェイの台頭
2011年、メコン川で中国の貨物船が襲撃され、中国人船員13人が殺害される事件が発生した。この事件を契機に、中国は黄金の三角地帯で大規模な捜査を展開し、地元の麻薬王「ノー・カム」を逮捕・処刑した。
ノー・カムの排除により、ジャオウェイは黄金の三角地帯での影響力を強めた。彼自身は「違法薬物を排除し、経済発展を推進している」と主張しているが、多くの捜査機関は彼の関与を疑っている。
詐欺組織の詐欺と人身売買の実態
近年、この地域では**「豚の屠殺(Pig Butchering)」詐欺**が急増している。この詐欺は、被害者と信頼関係を築いた後、偽の暗号通貨投資に誘導し、最終的に全財産を奪う手口である。
多くの被害者が、海外での高収入の仕事を謳うオンライン広告に騙され、GTSへと誘い込まれる。彼らはラオスに到着すると、パスポートを没収され、詐欺行為を強要される。人身売買の犠牲者の多くは「暗号奴隷」として、24時間体制でスパムメッセージを送り続けることを強要されるのだ。
「最初に小さな利益を与え、徐々に投資額を増やさせ、最後に全財産を奪う」と被害者は語る。
さらに、詐欺組織の内部では、**「暗号通貨奴隷(Crypto Slaves)」**と呼ばれる人々が監禁状態で働かされている。彼らは、デートアプリやSNSを使い、被害者を騙すよう強制されている。ノルマを達成できない者は暴力を受けたり、食事を与えられなかったりするという。
国際的な法執行機関の対応
アメリカ財務省は、ジャオウェイに対する制裁を発表し、彼の活動を「違法である」と断定している。しかし、国際的な捜査機関の活動には限界がある。タイ警察や国連薬物犯罪事務所(UNODC)も捜査を行っているが、ラオス政府の支援なしには根本的な解決は困難である。
ラオス政府は、GTSEZの20%の株式を保有しており、ジャオウェイと密接な関係を持っている。
中国の影響力
ラオスは、経済的に中国に大きく依存しており、中国の支援なしにGTSEZの改革は難しい。しかし、中国政府がジャオウェイを放置するか、取り締まるかは今後の情勢次第である。
資金洗浄の拠点としてのカジノ
GTSの中心には「キングス・ローマンズ・カジノ」があり、ここが違法資金の洗浄拠点となっている。米国財務省などの法執行機関も、このカジノが犯罪組織の資金を合法的な金融システムに流すための要所であると指摘している。
結論
GTSEZは拡大を続けており、東南アジアだけでなく国際的な法執行機関にとっても大きな課題となっている。多くの人身売買被害者が今なお監禁されており、救出の見込みは立っていない。
タイ ミャンマー国境付近で外国人が詐欺に加担させられる
2025年に入って、タイとミャンマーとの国境近くで旅行者などの外国人がだまされて詐欺に加担させられるケースが相次いでいるというニュースが頻繁に報道されている。
実は2023年末までは中国雲南省との国境に近いミャンマー北部のコーカン地区が詐欺集団の本拠地だったが取り締まりがキツくなり、オンライン詐欺グループは南下を始め、ミャンマーとタイ、ラオス国境の山岳地域、いわゆるかつての麻薬「ゴールデントライアングル」地帯や、さらに南のタイとの国境に隣接したもう一つのオンライン詐欺拠点とされたミャワディ近くのKK園区(KKパーク)地区に移動した。
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